書籍『GO WILD ー野生の体を取り戻せ!ー 』の感想文

レイティ他『GO WILD ー野生の体を取り戻せ!ー 』を読みました。
適切な(著者の言葉では野性的な)食と運動と睡眠を取れば幸せになり、それを仲間と楽しく実行することができれば、より幸せになれるという著者の主張を拡散する、啓蒙書として読みました。
まあ、そうだろうなという内容です。主張を理論立てするために、運動が知力の向上に役に立ったという実験結果、神経伝達物資やホルモンの化学的な反応についての解説、人類が現在の生活様式になった必然性(例えばドメスティック・バイオレンス)の歴史について語られています。
著者のひとりはハーバード大学の臨床精神医学准教授であり、パンを食べることをやめた途端に10個以上あった心身の不調があっさり消失したことなどについて、嘘くせえな、という気持ちはありますが、その肩書から私には反証できる能力が無く(あと面倒なので)、まるっと信じることにしたとして、疑問点がひとつと、無理そうなことがひとつありました。
疑問点は、95ページ引用「2011年のある研究は、トランス脂肪酸を摂るとうつ病のリスクが高まることを明かした。」です。名無しの”ある研究”を論拠にできるのであれば、例えば「宇宙人は人類を支配しており、私たちの行動はすべて宇宙人の実験材料である、と”ある研究”ではなっている」ということも主張の指標になりうるだろうと言うことです。どうして、原典を明示しなかったのだろう?
無理そうな点は、健康的な食生活として、99ページ引用「加工食品は食べない」としていることです。パンもパスタもしょうゆも味噌もはちみつも牛乳も駄目なようで、ちょっとしんどいし、相当な変人だと周囲に思われてしまい、それがストレスになりうるように思います。また、炭水化物がぎっしり詰まった食品は駄目なので、穀物はすべて駄目とのこと。米も。それらが好みの方には大変に味気ないですし、その食生活習慣を得るためには多大な金銭的・時間的な余裕が必要だと思うからです。
本書においては枝葉末節の部分へ、ケチを付けているような気がしますが。
ともあれ、詳密なデータを論理的に解説していると言う点では、理解が及ばないとはいえ、量的な説得力を持っていると感じました。
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ひとつの引用が一番気に入りました。260ページ、A.J.リーブリングの言葉で「生きていく唯一の方法は、うまく生きることだ。そして、どううまく生きるかは人の勝手だ」というものです。随分とやけっぱちに聞こえますが、著者はこの言葉をもっともだと評し、解説してくれています。
261ページ「総じて興味深い科学的問いというものは、確実な答えが得られないものだ。それでも、わたしたちは生きていかなければならず、人生をよりよい方向へ導いてくれる選択をしなければならない」とのことです。
実践的にはより健康的になるための普遍的なアドバイスとして、自分の『引き金』を見つけるということです。心身を不調たらしめる原因は、睡眠不足かもしれないし、運動不足かもしれないし、対人関係かもしれないし、他・・・、ということに気付き新しい習慣を取り入れることを恐れず、そして注意深く耳を傾けることを勧めています。
さらに具体的に、280ページ『あなたの引き金が何なのか、筆者にはわからないが、自分の経験から、まずは食べ物か運動、もしくはその両方から始めることをお勧めする』と、今からすぐに実践できる方法を提案してくれていることは、ありがたいです。
難癖を付けすぎたような気もしますが、総じて良い本だと思います。
身体器官は使わなければ衰える。脳も身体器官であるので、同様である。適切なストレスを与えられ、それを克服する行為によって、成長可能性が高まる、ガソリンとしては良質な食物を摂るようにする、できるなら気の合う仲間や家族と。真実だと私は思います。